支援団体の初面接で感じた事その1
2度目の電話での問い合わせで、直接支援団体に行って面接することになりました。
当時僕たちが問い合わせた時はコロナの一年目で世の中が混乱の真っ最中。
支援団体も僕たち二人の仕事もバタバタ。面接のスケジュール調節するだけでも時間がかかってしまいました。
年末の12月に問い合わせたのに行われたのは年明けて一月も中旬になったころ。
子育てのタイムリミットさえも僅かになった僕たちにとって
この流行り病はまるで障害競走のわずらわしいトラップでしかありまんでした。
はやる気持ちを押さえていよいよ迎えた面接の当日。
スマホ画面に表示されたグーグルマップで事務所を探しながら市内を歩き回りました。
あ、ケンタッキー…
僕達の目指す先にケンタッキー・フライド・チキンの看板がデカデカと見えてきました。
行ってきます。サンダース先輩…
僕の方で勝手に高齢の頑張りのメンターにしてるだけで
サンダース先輩にとって養子縁組はまったく関係ありませんが
でも何かにすがりたくなるのは仕方ないのかもしれません。
面接では養子縁組の適性か確認する為に、どんなご夫婦かお話しを伺いますと聞いてました。
僕達はどれだけ子供にやさしい夫婦か、どれだけ子供ファースト経済状況で子育て出来るか、支援団体に気に入られるような回答を用意する事は忘れません。
用意した回答は気に入られようと盛りに盛ってましたが、なるべくポーカーフェイスでやり過ごそう。
そんな状態で面接にのぞみました。
「お二人は不妊治療は何年くらいされたのですか?」
「不妊治療最後にされたのはいつですか?」
「最後に不妊治療を終えてどう思いましたか?」
子供の事で相談しに来てるのに聞かれるのは不妊治療の話題ばかり。
最初は素直に答えてた奥さんも次第に表情がこわばってきました。
「もう一度不妊治療をしようと考えませんでしたか?」
押さえたものが爆発しました。
僕達は貴方がしつこく聞いて来る不妊治療が上手く行かなくて、養子を取ろうと思ったんです。
辛い経験を忘れて僕達は次に進もうと決めたんです。
それなのにどうして蒸し返すような事を聞くんですか?
「もし実子が生まれたとして、養子の子供との愛情にどうしても差が生まれるからです。少しでもその可能性があるなら養子縁組は考えない方がいいです」
支援団体さんの言葉に奥さんが興奮してる僕の腕をぎゅっと握りました。
「養子縁組というのは貴方達親の為の制度じゃなくて子供の為の制度なんです」
頭をガツンと殴られた気分でした。
この養子縁組は僕達子供が出来なかった夫婦の為じゃなくて親がいない子供の為の制度。
どれだけ不妊治療で辛い思いをしようが
盛り盛りの感じのいい夫婦を装うが
僕達の事情なんかどうでもいいんです。関係ないんです。
親のいない子供たちにとって必要なのは
ただ自分を愛してくれる親だけ。それだけなんです。
僕の浅はかさに暫く呆然としてしまいました。
しかしその後も間髪入れず僕達の浅はかさを露呈してしまう質問を支援団体の職員さんがされました。
「ご主人も奥さんも働かれてますが、どちらが家庭の中で子育の中心になるおつもりですか?」