里親資格の授与式
年が明けて里親資格を貰える事になりました。
今までの実習を経て養護施設に書いて頂いた推薦状が行政に通った形になります。
授与式は児童相談所で行われる事になりました。
「こちらが認可証になります」
養護施設のシェパードさんが表彰状みたいな形で認可証をくれました。
面接の時、僕の話でよく笑って頂いたチワワさん、家庭訪問に来てくださったドーベルマンさんも、まるで卒業式の保護者のように証書を受け取る姿を見守ってくれてます。
「ありがとうございます」
僕は胸を張りました。
「養子縁組しようと決めてから、気づけば1年以上経ちました。楽しかった面接」
「面接」
「沢山の仲間と触れ合った研修」
「研修」
「挫けそうになった時思い出したケンタッキー」
「ケンタッキー」
流石に卒業式の送辞答辞のような真似はしませんでしたが、僕の心の中では今回の経験が走馬灯のように蘇り涙が出ました。
「さて、資格も得たので気に入った子供がいたらどんどん問い合わせて下さい」
鼻水を垂らしてる僕にドーベルマンさんは優しく語りかけてくれました。
「分かりました。じゃあドーベルマンさんの養護施設に保護されてる子供さん紹介して下さい」
「いえ。私の所には養子に出したいという子供は預かってませんので」
「え?じゃあどうしたら?」
「最初に問い合わせした支援団体に一度相談してみて下さい」
「え?あそこ…」
そこは最初に問い合わせした時、不妊治療の事とか聞かれてプチ切れした所なので、何だか気が引けました。
「いい出会いがあるといいですね」
シェパードさんは僕達の新しい門出を笑顔で見送ってくれました。