家庭訪問対策
支援団体の家庭訪問は直ぐ行われました。
里親の資格取る為に養護施設で既に行われてましたし、コロナに関係なくこの点はスムーズに行われるものだと思います。
でも早く行われる家庭訪問は憂鬱でした。
それは支援団体での僕の態度があまりにも失礼でぞんざいで、全く印象の良いものじゃないだろうと思ったからです。
「だろうと思たんやなくて、明らかに印象悪いわ」
普段関西弁を使わない奥さんは、ヤカラのニュアンス加えて僕を責めたてます。
「でも対策を考えなあかん。印象悪いまんまやったら推薦してもらわれへん」
そこで僕達が考えたのは、ああなるほどそうですね作戦。
僕はとても頭が硬い人間です。
一丁前な年齢に達してるから、自分なりの価値観が出来上がってしまってます。
勿論色んな人生経験を経て出来上がった価値観は素晴らしいです。
経験を積んだ素晴らしい考え方はお金を払ってでも参考にしたい。
ただ僕は仕事も失敗して大した事何も出来てないのに、一丁前な年齢に達してしまった、そういう類の考え方や価値観。
自分では正しいと思ってるんですが、独特過ぎるというか俺流過ぎて、遠くから観察するには
あ、面白い事言ってはるわ、このおっちゃん
となるのです。僕の散らかした人生経験から観ても、あまり共感が得られるものではありません。
「このままやったら、クレーマーおじさんになってしまうで」
偶にレジ待ちの行列にもイライラしてしまう僕は、奥さんの関西弁のご指摘通りかもしれません。
自意識だけ肥大化させた大人に片足突っ込んでるのに、もう片方も突っ込んですっぽりはまってしまってしまいます。
自分の考え方押し通すんじゃなくて、相手の言ってる事を先ずは受け入れる。その為に
ああ、そうですね。
僕は奥さんの指摘を「ああ、そうですね」と受け入れ家庭訪問を受けました。
そしてレッサーパンダさんは家庭訪問にやって来ました。
この家に預けて大丈夫か家をまずは確認します。
「本棚に本が沢山ありますね。子供が触って本が落ちてくる可能性があります」
「ああ、そうですね」
「オープンキッチンなんですね。子供が角っこで頭ぶつけるかもしれませんね」
「ああ、そうですね」
「タブレットとか電子機器が沢山ありますね。子供がイタズラするかもしれませんね」
「ああ、そうですね」
最初は支援団体に気に入って貰う対策でしたが、子供を迎え入れる注意点を素直に受け入れる事が出来ました。
「家の中に金槌などの工具がありますね」
「ああ、そうですね。実は子供を迎え入れる為に中古の家を買いまして。2皆は子供部屋にしようと、子供を迎え入れる迄にDIYする予定です」
「そうなんですね。前向きに検討します」
こうして家庭訪問を終え、養護施設は僕達をライオン君の親に推薦してくれることになりました。